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2025-03-26 22:00:00
小林市長の農業政策評価
小平市長選が間もなく始まりますが、それとは別に、小林洋子市長が1期目に出馬された際の公約についての通信簿がホームページに掲載されていました。
かなり詳しい政策でしたので、逆にツッコミどころも多く、正直違和感のある政策も散見されます。通信簿では肯定的な評価ばかりですが、私個人の考え方、思ったこと、実際に見聞きした・体験したことを含め、意見として書き置きます。
なお、この意見はあくまで私個人の意見であり、役職を頂いている所属団体の立場とは関係のないものです。
小林洋子市長 農業政策評価.pdf (0.43MB)
(公約47)
農家の後継者や、新たに就農したい人等若手農業者を支援します。
また農家の初期投資に無利子貸付導入を検討します。
(通信簿)
引き続き、認定新規就農者に対して、就農に必要な施設の整備費や機械設備の導入費を補助。
(意見)
・新規就農者定着支援事業は東京都の事業(都75%、市15%)。
(公約48)
農地の収益を上げるために生産緑地にソーラーシェアリングの設置を検討します。
生産緑地の賃貸借のマッチングの仕組みを作り、農地の貸借をしやすくすることでさらに新規就農を後押しします。
また、体験農園の数を増やし体験農園の運営を支援します。
(通信簿)
ソーラーシェアリングや貸借のマッチングについて、他自治体の事例や小平市での必要性等について研究。
農業委員会、JA等関係機関と連携し、生産緑地を貸したい人と借りたい人のマッチングに努め、農地の利用促進につなげていく。
体験農園新規開設の要望があった際には、開設準備に係る支援を行う。
(意見)
・市がソーラーシェアリングの研究をしているという話を聞いたことがない(研究をしただけというなら、否定はしない。研究の結果ソーラーシェアリングはやらない方が良いという結論であったのなら、その点は評価するが、詳しい話は聞いたことがない)。
・貸借のマッチングの仕組みというのが、つまるところ農地中間管理機構の制度なのであれば、仕組みを作ったのは市ではなく国。実際にマッチングしているのは東京都農業会議。その他、都市農地貸付円滑化法などで規定されている手続きが多くあり、市が独自に仕組みを作れるわけではない。すごく面倒な手続きだけどちゃんと仕事をしているよ、とでも言いたいのだろうが、それが役所の仕事だとしか言いようがない。
・農地の貸借は進んでいるが、生産緑地で「賃貸借」はほとんどない。大半は「使用貸借」のはず。
・市内の農業体験農園の数は、最近4年間では増えていない(現在5園で、一番最近開設されたのが2021年春)。
(公約)
地場産品について、地場野菜や地場産品の販売・流通を促進し、地場産品を使った商品開発やレストラン支援等で市内商業を活性化します。
保育園や小・中学校給食で地場野菜を利用し、さらなる地産地消を進めます。
GAP認証や有機栽培、ネオニコチノイドフリー宣言等、小平市の農産物に付加価値をつけ、ブランド化します。
(通信簿)
公立保育園では、地場産農産物の使用に努めている。
小学校給食では地場産農産物の購入割合に応じた支援や運搬に係る車両経費、人件費等に対して引き続き支援し、利用割合の維持。
市内飲食店にて農産物を使ったオリジナルメニューの提供による農商工連携推進事業を実施。
環境保全型農業推進事業により、有機肥料や、天然由来成分の農薬等の購入を支援。
環境保全型資材を活用した農業運営に関する講演会を実施。
都が実施するGAP認証に向けての整備支援について、都やJAと連携して周知を図る。
(意見)
・保育園、学校給食での地場農産物使用、市内飲食店に対する事業については評価する。ただし、大半は前市政から継続して行われている事業である。
・有機肥料の補助はかなり昔からの事業である。
・天然由来成分の農薬に対する補助があるのか(具体的に何を指しているのかよく分からない)。もしかしたら、補助のあるフェロモンルアー、コンフューザーのことを言っているのかもしれないが、これらが天然由来成分の農薬といえるのか? もしそうであれば言葉の言い換えが過ぎる(一般的には、フェロモンルアー:発生予察剤、コンフューザー:交信攪乱剤 と言う。)。殺虫剤のBT剤やスピノエースなどは天然由来成分の農薬と言えるのかもしれないが、これらに対する補助はない。
・環境保全型資材を活用した農業運営に関する講演会を実施、とあるが、どんな講演会があったのか全く分からない。知らない。そもそも市が主催する農家対象の講演会は最近ほとんどない。
・GAP認証については、東京五輪後、ほとんど停滞している。
・ネオニコチノイドフリー宣言については、科学的根拠を欠く。悪質なデマに基づく考え方。こんな政策をやられたら農家が困る。
・令和4年12月~令和5年1月の東京都農産物生産状況調査に合わせて行ったアンケート内容が極めて悪質であった。私はJA支部長会議で厳しく指摘したが、産業振興課は全く反省していない。関与した市議会議員についても明らかにしていない。この4年間の小平市の農業政策で最大のスキャンダル。
・令和4年11月30日、市議会の伊藤央議員の一般質問で、ネオニコチノイドフリーの取り組みについて質問された際、「ネオニコチノイド系農薬など、農薬講習会の開催をJA東京むさしや東京都農業振興事務所と協議しており、来年3月に多くの農家の方が集まる小平市農業者顕彰授賞伝達式講演会にて農薬講習会を実施する予定でございます。」と答弁しているが、市役所は農業者顕彰授賞伝達式の主催団体ではない。市長は来賓として呼ばれているにも関わらず、主催者であるかのごとき発言をしている。
なお、このときの講演会(実際の内容はネオニコチノイドではなく、みどりの食料システム戦略。講師は関東農政局)があまりにもつまらなかったため、本年以降は授賞伝達式での講演会開催が取りやめになった。
(公約)
市役所等で定期的に農家マルシェを開催します。
(通信簿)
JA東京むさし小平支店がより販売実績の高い新小平駅等で定期的に地場産農産物の即売会を継続実施。
(意見)
・新小平駅での販売は、市の事業ではなく、JA青壮年部等の生産者団体の事業。
【市長はどこを向いているのか】
ネオチコチノイドフリーは生活者ネットワークの政策であり、ソーラーシェアリングは菅直人の持論である。決して農家側から出てくるような政策ではない。都市農政推進協議会が市長を支援したとしても、他にもっと市長に近い組織もあるわけで、農家側の価値観と合わない政策が盛り込まれてしまう。逆に、農地の相続税の負担軽減などは盛り込まれていない。
結局市長がどちらを向いているのか、よく注視する必要があり、農家はどう向き合うべきか、よく考える必要がある。
【実際にやったのかどうか】
・ソーラーシェアリングの研究をしたという話を聞いたことがない。
・天然由来成分の農薬とは具体的に何を指すのか分からない。言葉を定義せずに使っており、価値観を共有できない。
・環境保全型資材を活用した農業運営に関する講演会とはいつどこで誰を対象に誰が講師で行った講演会か分からない。
【アレオレ】
・新規就農者定着支援事業は東京都の事業。
・農地の貸借は農業委員会と東京都農業会議の業務。
・新小平駅での販売は各生産者団体の事業。
・学校給食への地場産農産物使用については、大半は前市政から継続した事業。
・有機質肥料の購入補助はもっとかなり前からの事業。
・体験農園新規開設は前市政での実績。

