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2020-12-02 21:55:00

種苗法改正にあたって(修正しました)

2020/12/03 13:30修正しました。

農家の自家増殖については、施行日が2022年4月1日となりますので、あと1年4か月後になります(他の改正点の多くの施行日は2021年4月1日です)。この点を未確認のまま、他の改正と同様、来春4月の施行と勘違いして、昨日投稿しました。

大変申し訳ありません。

 

 

 

本日の参議院本会議にて、種苗法改正案が可決されたとのことです。

「東京ゴールド」の育成者権者として、この改正を心より歓迎し、関わった関係者の皆様の御労苦に感謝いたします。

 

東京ゴールドをはじめ、果樹分野で登録品種の栽培をされている方に対し、私の立場で以下の3点について、書かせていただきます。

 

1、来春3月までに2022年3月までに行うべき、「農家の自家増殖」

2、登録品種と、登録品種以外の区別

3、来春2022年4月以降の東京ゴールドの増殖についての、私の考え方

 

 

 

1、来春3月までに2022年3月までに行うべき、「農家の自家増殖」

 

この改正案の施行日は来年4月になるようですから、3月いっぱいまでは今の法規制のままです。

農家の自家増殖については、施行日が2022年4月になるようですので、あと1年4か月後までは今の法規制のままです。

今回の大きな改正ポイントは、登録品種について、農家の自家増殖がこれまで自由であったものが許諾制になるという点です。

従って、農家の自家増殖は今シーズンは2022年3月いっぱいまでに行うべきです。

ここで重要なのは、「農家の自家増殖」とは何かという点です。

果樹分野での増殖とは、正規に購入した種苗から、挿し木・接ぎ木などの技術を使って、個体数を増やす作業です。

農家の自家増殖は、この増殖が自園地内で完結していることが必要です。

すなわち、正規に購入した種苗を自園地内の定植し、その剪定枝などを利用して、自園地内で挿し木・接ぎ木を行い、増殖された個体は自園地内に定植する必要があります。

他の人から剪定枝を貰ったり、増殖したものを他の人に譲る(有償無償をとわず)のは、登録品種については従来から許諾制(実質禁止)です。

来春4月以降2022年4月以降はこの「農家の自家増殖」が、登録品種については許諾制になりますので、今シーズンと来シーズン3月までに少し多めに行っておくべきだと思います。

 

 

2、登録品種と、登録品種以外の区別

 

来春2022年4月以降は、登録品種について、農家の自家増殖に規制がかかる形になります。ここで重要なのは、登録品種と登録品種以外の区別の仕方だと思います(登録品種以外は、従来から自由です)。

この区別をするためには、農水省ホームページの「品種登録ホームページ」にて検索して調べる必要があります。

なお、一般的には果樹種苗業者が配布するカタログなどでPVPのマークがついているものが登録品種となります。

いずれにしても、今後は登録品種か登録品種以外かの区別をすることが重要になります。

登録は果樹については30年以内ですが、実際にはもっと短い期間で登録を打ち切ることもありますので、この区別は常に意識すべきことと思います。

 

 

3、来春2022年4月以降の東京ゴールドの増殖についての、私の考え方

 

この種苗法改正により、来春2022年4月以降は農家の自家増殖も含めて、登録品種のすべての増殖が許諾制になります。

東京ゴールドの育成者権は、公益財団法人東京都農林水産振興財団が9割、中村利行が1割を保有しております。財団側の意向については明らかにされていませんが、今後発表があるものと思いますので、それに従っていただくことになります。

私が財団側にすでに伝えてある考え方について、簡単に記しておきます(なお、あくまで1割しか権利を保有していません)。

農家の自家増殖が許諾制になったあとで、どのようにして許諾を与えるかについては、農水省は円滑に実施するために農家の負担が増えないような形を考えておられるようです。

私自身は、東京ゴールドの自家増殖については、きわめて安い金額で結構なので、許諾料をいただく形で進めていきたいと考えています。自家増殖をされたい農家の方と、1件1件契約を取り交わすような形を考えております。

品種登録制度を大切に思う農家の方と、直接つながる形になれれば良いなと思っております。お金が欲しいというわけではありません。現行の種苗法がきわめてザル法で、登録品種をないがしろにするような言動をする農家も珍しくない中、せっかくの種苗法改正の意図を大切にしたいと、育成者権者として思うのであります。

なお、くどいようですが、私は東京ゴールドの権利の1割を持っているにすぎず、品種利用者の皆様には9割の権利を持つ財団のご意向に従っていただくことになりますので、ご理解いただければと思います。