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2019-05-15 22:44:00

東京ゴールド 原木枯死について

 残念なお知らせをしなければなりません。

当園はキウイフルーツ新品種「東京ゴールド」の育成者で、原木を保持しておりましたが、このほど、この原木が生育停止し、じきに枯死する見込みとなりました。

 

5月に入ってキウイの授粉シーズンとなり、ちょくちょく見て回っていましたが、どうも水を吸っていないような状況が続いていました。
他の木は開花が始まったのに、原木だけはどうも開花が進まず、蕾が開き加減のまま停滞していました。

 

先週の5月9日に東京都の農総研に連絡をし、また普及センター、病害虫防除所にも連絡を入れました。
普及センターの宮地普及員、病害虫防除所の岩本先生・他2名の先生には、ご多用の中をその日のうちにご来園いただき、直接見ていただき、原因と対応策をご検討いただきました。
また、農総研の杉田研究員にも有用なアドバイスをいただきました。

  

 

原因としては、まず「キウイフルーツかいよう病」を含め、病気が原因ではないとのことです。
私も目視で観察しましたが、かいよう病の特徴である葉の斑点(いわゆる「ハロー」)や、白濁した細菌液が幹部から漏出し褐変する症状などは、これまでもありませんでしたし、今回もありません。
普及員さんや病害虫防除所の先生がたが複数名で見たところ、一見してかいよう病ではなさそうだと判断し、実際よく見てもそれらしい症状が認められていません。

 

原木の木全体の葉が萎んでいるような状況で、一見すると水を吸っていないような状況でしたので、おそらく地下部(根)に何らかの異常があるのではないかと思いますが、現在のところ、きちんとした原因は分かっていません。

 

乾燥が原因だとすれば、葉の蒸散量を減らすために葉の量を減らしたうえで、当面は灌水してみて様子を見るべきというアドバイスもありました。
そこで新梢を半分くらいの本数になるように搔きとり、数日間かなりの量の水を撒きましたが、状況は変わっておらず、むしろ萎びる度合いが進んでいます。
おそらく数日のうちに完全に枯死するものと思われます。

 

 

 

東京ゴールドは、こちらのページ(クリックしてください)に書いた通り、父が園芸屋から買った苗が注文と違う品種だったのを、そのまま植えていたところ、新品種であることが判明したという、「物語性のある品種」です。
この物語を語るためには、原木の存在は大きかったのですが、こうなっては仕方ありません。
非常に残念なのですが、キウイフルーツの経済的な寿命を考えれば、およそ30年生き永らえたのは、長いほうなのかもしれません。
この木からは、品種登録後、毎年苗木屋さんが作る苗のために穂木を採取してきましたので、ともかくかいよう病などの病気ではなかったのは非常に安心しました。
他の方に迷惑をかけることなく、寿命を全うし、しかも多くの農家でクローン個体が生き続けることなるという意味では幸せだったのかもしれません。
平成初頭に父が植えたものですが、平成が終わって直後に枯れるのも、きっと何かの運命だったのでしょう。

 

 

販売面では、今秋収穫分でおよそ3割程度の減収になりますが、当園では他にも原木から接ぎ木した東京ゴールドの木がたくさんありますので、販売自体はできます。
来年度以降は、私も苗木屋さんから苗を買う形になりますが、新しい苗を植えて、少しでも減収分を補いたいと思っています。

 

 

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